肝臓病・ガン(腫瘍)

肝臓病

肝臓の中の血液の75%~80%は、胃、腸、脾臓から直接入り込んできます。そのため、腸で吸収した栄養素、細菌、薬物、抗原が濃縮した形で肝臓に入ってきます。そして身体のために入ってきた栄養素を利用しやすい形に直したり、有害な物質を解毒分解して身体を守っています。このことが皮肉にも肝臓が障害を受けやすい原因の一つになっています。また、「沈黙の臓器」と呼ばれるほど障害が進まないと症状に現れないのがやっかいな所です。犬では軽い障害でも長い経過のものでは容易に繊維化をおこし直り難くなります。猫では解剖上の特徴から肝胆道系の病気のとき、膵炎、慢性炎症性腸炎の合併が非常に起こり易いのでそれらの疾患にも注意が必要です。肝臓疾患の原因として、中毒、感染症(中毒と症状等で区別できない時あり)、肉芽腫、炎症性、肝膿瘍、腫瘍、猫では脂肪変性によるリピドーシス、チャイニーズシャーペイやシャム猫ではアミロイドの沈着による肝障害、ホルモンによる肝障害などがあげられます。
原因がはっきりしているものでは原因治療から始まりますが、原因がはっきりしないものや、症状がなく血液検査で軽度の異常のものでは補助療法からはじめます。すなわち、肝臓の細胞がいたんでいるとオキシダントが発生しさらに別の細胞をいためてしまうので、オキシダントをおさえるために抗酸化療法を行います。また疎水性の胆汁は肝臓の細胞をいためるので親水性にする治療を行います。
もちろん食事の管理も大切な治療といえるでしょう。
「もの言わぬ臓器肝臓の病気」から大事な動物をまもってあげてください。

ガン(腫瘍)

人も動物も高齢になると「がん」に関わる可能性が大きくなってきます。がんの治療は大きく3つの段階があります。まずは根治治療と呼ばれるもので完全にがんをやっつけてしまうことを目的にします。正々堂々と正面からがんを根絶させるための戦いになります。次が緩和療法と呼ばれるもので今現在の症状を楽にしたうえでがんをコントロールしていくものです。敵の様子を見ながら、勝てそうな局面では戦いをいどみ、危ない局面では防御を中心に考えていくものです。三番目が対症療法と呼ばれるもので現在の生活を少しでも良くしていく、少しでも元気なときの状態に近ずけ、維持していくものです。がんとの戦いは避け、自分の陣地の修復に専念して少しでも快適に暮らすことを考えていくものです。
どのような治療を選択するかは、がんが一つだけなのか、いくつもあるのか、転移があるのか、リンパの様子、現在の全身状況、がんの大きさ、がんの種類、これらのことを総合的に判断して考えていく必要があります。がんの治療法には、外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法があります。外科療法は境界が明確で単独なものでは根治を目的に行うことができますが、なかには根治ではなく生活が少しでも快適になることを目的で行うこともあります、検査の目的や再発防止の目的でおこなわれることもあります。化学療法とは抗がん剤を用いてがんに立ち向かう治療です。リンパ系の腫瘍では高い効果が確認されています。なかにはあまり有効でないがんや、副作用のために使い難いこともあります。肉を切らせて骨を切るのイメージです。放射線療法は外科療法と同じように局所療法になります。外科療法のように部位によって見た目がかわることはありません。ただ、治療のたびに麻酔等が必要なことと残念なことに大学病院を中心に限られた施設でしか今のところ使用できません。