心臓病・腎臓病

心臓病

心臓は死ぬまで休むことなく働いてくれます。そのためわずかでも一旦障害がでると何ヶ月後には重度の心疾患になってしまいます。悪くなりきる前に出ているサインを見逃さないようにしてください。

あなたの大切な動物は咳きをしていませんか?やさしい小さな音の咳なら心疾患による咳の可能性があります。大きくてガサツな音なら気管や肺からの咳の可能性が高いです。安静のときも咳はでますか?
運動したときだけ咳がでますか?前に比べて運動しなくなってないですか?呼吸が速かったり、大きく荒くなっていませんか?

少しでも気になるところあったら、まずは胸部レントゲン、症状によっては心電図、心エコー、血液検査が必要になります。
胸部レントゲンでは心臓の形、大きさ、動脈と静脈の太さ、肺、気管の状態が評価できます。
心電図では心拍動の数、リズム、あるべき電位、あってはいけない電位の評価と心臓の大きさの推定ができます。心エコーでは心臓の機能の評価ができます。血液検査では直接心機能を調べたり、全身の臓器の評価ができます。心臓疾患になってしまったら心臓だけの問題ではなく全身の臓器の問題になります。心臓の機能が落ちれば内蔵に行く血液量の変化がおこりある一定以上になればその臓器に問題が生じてきます。実際心疾患になってしまったら様々なくすりを使用するようになります。
軽度なうちは一種類からはじまると思います。通常は心臓に繋がっている血管を広げる薬から始めることが大半です。それはジュースを飲むとき太いストローと細いストローどちらが楽に飲めるかと同じことです。細いストローだと疲れてしまうし、ほっぺたも痛くなります、このほっぺたの痛さが心臓の筋肉の疲労にあたります。ですから心臓のストローすなわち血管を太くしてあげます。ただこの薬は心臓だけでなく全身に効くので血圧の低下や腎臓の仕事の量を低下させてしまいますので腎機能のチェックは必要になります。
また心拍動が早すぎると一回の拍出量が減少して効率が悪くなり心臓が働いているわりに血液を全身に送れません。そのため安静時でも一分間に150以上の心拍であれば心拍を遅くする薬を使います。
万一、肺に水が溜まるようになるようだと、心臓に入り込む血液量を減らして心臓の負担を小さくします。
このとき使う利尿剤によって血液中のカリウムの不足がおきることがあります。カリウムが不足すると食欲不振、筋力低下などがおきますので血液中のカリウムのチェックも必要になります。心疾患が進めば、心臓の筋肉を強化する薬が必要になります。ただ、この薬を軽度の疾患で用いるとかえって悪化するという報告と早めから使用すべきという意見があります。
ですから使用に関しては心機能のチェックが必要になります。

腎臓病

腎臓は単に尿を作るだけでなく実に様々な仕事をしてくれてます。つまり身体の水のバランス、ミネラルのバランス、酸塩基のバランス、赤血球の生成の刺激、血圧のコントロール、電解質のバランス、神経内分泌の関与、胃酸の抑制に関与などの仕事をしてくれています。実際に腎臓が悪くなるとカリウムが不足、貧血、脱水、リンの過剰、老廃物過剰、高血圧、胃酸の過剰分泌がおこります。残念なことに慢性腎疾患は良くなることはなく時間の経過とともに悪くなる病気です。そこで悪化の速度をできるだけゆっくりにすることによって動物に快適な時間を少しでも長く過ごしてもらうことができます。悪化を遅くするには脱水を避けるために水を多く飲んでもらう工夫、水に肉汁を混ぜる、ドライフードに水を混ぜる、水のみ場の数をふやすなどですが動物の好みがあるので何が有効か試していただきたい。また過剰にたまる老廃物、老廃物の代表は窒素ですが窒素はタンパクから作られるのと、過剰にたまるリンもタンパク由来なのと、タンパクの摂取によりおおく胃酸がでるのとの3点で食事のタンパクは腎疾患初期から制限していただきたい。
オメガ3の脂肪酸をとることで有意に寿命が延びることが証明されています。すなわち細胞膜をつくる脂肪酸がオメガ6であるとオメガ6は代謝すると血管に作用して炎症や血圧上昇に関わるためオメガ6からオメガ3に変えることで炎症や血圧上昇を防ぐことができます。そのほか高血圧に対して降圧剤を使いますが、状況によって腎臓に入り込む血管を拡張させるタイプか腎臓からでていく血管を拡張させるタイプか使い分けたり、両者とも使ったりいたします。またリンにたいして結合剤、胃酸にたいしてH2ブロッカー、腸内で老廃物を吸着する薬などを使用していきます。
また一番大事なのは食事にしろ薬にしろそれぞれの動物で個別の治療計画をたてることです。